※注意
この話は、ゲームプレイヤーと同じように本編(同じ輪廻)をひたすら繰り返している設定。
本編の大体の流れは毎回同じで、クラサメさんは秘匿大軍神の召還で死ぬし、エースも皆で死にます。
隊長が死んだら隊長のことは忘れるけど、次の周回が始まるときには全部覚えてるという設定。つまりは輪廻の記憶があるエースという特殊設定の話です。
最終的にはクラAだけど、実際ほぼクラ+A。サンプルなので微妙なところで終わります。
大丈夫な方はスクロール。
さて、これは一体何回目の生だったか。
エースは頬杖をつきながら考えた。左側の窓から入り込んでくる太陽の光は心地よく、程よい眠気を誘う。
自分の記憶が正しければ、今回は五億九千九百九十九万と九千九百九十九回目である。
二回目の生で感じた微かな既視感は、三回、四回と回数を重ねるごとに酷くなり、それらが全て、自分が重ねた生の記憶であると確信したのは二十一回目のことだった。これから先のこと、所謂未来の展開が分かっている自分に驚きを感じるより前に、これまでの不思議な感覚はそういうことか、と腑に落ちた感覚を味わったことを覚えている。
終わりがなく、自分でも無意味であると分かっているこんなカウントを始めたのは、四十八回目のこと。それ以来欠かさずに数えていたら、いつの間にか記念すべき六億回目の輪廻がすぐそこまで来ていた。
毎回自分の目の前で散る命が、どう足掻いても救うことの出来ぬものだと気付いたのは二億とんで八万と、さらにとんで六十一回目。ならばせめて、と力尽きて崩れ落ちていく手を握ったのがその次の回。堪え切れない涙が溢れて頬を伝って落ちたのも、たしかその回からだ。それでもその数秒後には、僕はその青年のことを忘れてしまうのだけれど。戦場で僕の名を叫んだ名も無き青年の顔は、今はもう思い出せない。きっと僕は、この輪廻と同じ回数だけあの青年の死を目の当たりにしているのだろう。
道筋が少し違っていたとしても、辿りつく先はいつだって同じ。ちっぽけな自分一人がどんなに抗ったとしても、必ず辻褄が合うように世界は回っているらしい。
「エースさん」
柔らかい声に顔を上げると、エースの顔を覗き込んでいたらしいデュースと目が合う。その眉は、心配そうに垂れ下がっていた。少し抜けているようで実は芯がしっかり通っている彼女は、人の機微にとても敏感だ。
「なにか、あったのですか?」
「どうして?」
「考え込んでいるようでしたので」
「……昨日少し夜更かししたからかな」
少しだけ嘘をついた。きっとデュースは、この小さな嘘に気が付いているだろう。それでも彼女はいつも、こちらから口を開くまで待っていてくれる。自分が聞くべきであると判断した話は聞いてくるが、こちらを傷つけてまで聞きだそうとはしない。
そんな彼女の優しさが、いつも有り難かった。
「そうですか。今日は、ちゃんと休んでくださいね?」
「ああ。ごめん」
エースの言葉に、デュースは苦笑で返した。デュースは何も言わないまま、自分に割り当てられた席へと戻っていく。
優しい彼女を、傷つけてしまっただろうか。心の中で謝罪をしながら、エースは視線を窓の外へと移した。この日の空はいつだって透き通っていて、心地よい風が吹いている。窓は開いていないため、その風をこの身で感じることが出来ないのが残念だった。
間もなく時間だ。今日は何が起こったかなんて、そんなことは考えるまでもなかった。
コツコツと心地よく響く足音が、遠くから耳に届いた。
ソドム
(繰りかえされる罪業の街の悲劇)
八月末から通販やります。この設定のクラA本で。
(2012.08.10)