邪魔 /
甘やかす /
ほんとだよ /
言わないで /
凶器 /
さよなら /
寝言 /
素敵な人 /
おわり /
狡い大人
(121108/ナギとエース)
「隊長が邪魔なんだ」
「邪魔って……本気で言ってんのか?」
「まさか。本気で隊長が邪魔なら僕たちが消してる」
「って、お前ら一回隊長にねじ伏せられたんだろ?」
「僕たちが本気なら隊長は抵抗できないさ。それが僕たちの意思なら」
あの人はそういう人だから。
だから邪魔なんだ。
(121108/カヅナギ)
「紅茶飲むかい?」
「ん」
「珈琲の方がいい?」
「別に」
「クッキーあるけど?」
「ああ」
「紅茶、ミルクでいいよね?」
「……急にどうしたんだ」
「別に? 君のために何かしたいってだけだよ」
(……はっきり言うよな、こいつ)
なんだかむず痒い。
(121108/クラA)
「……お前は一体どう思っているんだ」
「あんたのこと? それともこの関係のこと?」
「どちらもだ」
「さあね」
なんだそれは、と溜息をこぼす。
「確かに僕は隊長が好きだけど……よくわからない」
エースは言い澱むことなく告げる。
「だって僕は、躊躇うことなくあんたを殺せる」
(121108/クラA)
「好きだ」
言わないでくれ。
「隊長」
少年のよく通る声が鼓膜を揺らす。何度となく繰り返されたその言葉が、頭の中で反響していた。
「隊長?」
「もう」
「……なに?」
「いい加減にしてくれ」
頼むからもう止めてくれ。お前の想いは、私なんかに注ぐべきではないのだから。
(121111/クラA)
(息が止まりそうだ)
浅い呼吸が空気を揺らす。
(あんたに殺されるんじゃないのか)
胸元で揺れるマントの金具を緩めても、口を覆われているような息苦しさはなくならない。
(それはごめんだ)
こんなに鋭い感情があんたに向かっているというのに。
鈍いあんたは気付きもしない。
(121114/クラA)
「隊長、別れてくれないか」
息が止まった。
「なに、を」
張り付いた喉から絞り出した声は、情けなく震え、掠れていた。錆び付いたように動かない首を無理矢理回して、やっとの思いで彼と向き合う。
「隊長、僕と別れて」
幸せそうに弧を描いた唇で、なんて残酷な言葉をつむぐのか。
(121115/現代クラA)
「起きろ」
「……なに」
「イザナとは誰だ」
「先輩だけど?」
「何故そんなに嬉しそうに名を呼ぶ」
「そんなこと言われても」
「ナインやキングならまだわかる」
「ナインの夢見ればよかった?」
「そうじゃない。それなら私の夢を見ろ」
「それは魘されそうだ」
「減らず口」
(121115/クラ→A→?)
「隊長、僕は」
「言わなくて良い」
解っているさと、クラサメはエースの唇に指を添えた。
「気付いていないとでも思ったか」
「え?」
「どれだけお前を見ていたと思っている」
それくらい解る、と微笑んだ。
「……あんた、最高に良い男だ」
その手を取れなくて、ごめん。
(121118/クラA)
「あと何日かな」
唐突な問い。
「あと何週間、何ヶ月、何年。何時間、あと何分」
どう思う?
「さあな」
返されたのは素っ気無い言葉。
「嫌か」
「嫌、かな」
きっと
「なら二人で待てばいい」
こうやって
「うん、それもいい」
終わりを待つのも、貴方となら怖くない。
(121119/クラA)
すまないと、決して謝りはしない。
謝罪の代わりに、只管愛を囁こう。私の言葉が心に居座り、内側から溶かしていく様を、私はじっと見ていよう。いつか、ぽっかりと開いた胸を。抱えるお前がいとおしい。
狡い大人の打算的な愛し方。
終わりが来ても来なくても、私が負けない賭けをしようか。